悪意の騒音。善意の騒音。

ご近所トラブルの原因。第一位は騒音なんだって。
つまり騒音トラブルを解消したら、住環境の悩みの大半を消し去れるってこと。

騒音を、二つに分けようとしてみたんだ。
悪意の騒音と、善意の騒音。

悪意の騒音は、
誰かを罵る大きな声とか、不快な思いをさせる為に出す音。
怒りを伝える為にドアを強く締めたり、クラクション鳴らしたりするのもこれに入る。
根っこに悪意があって、その行為の結果として出た音。

もう一つの善意の騒音は、
誰かの気分を良くする為に出された音。もしくはそういう行為に付随する音。
上の階から聞こえてくるギシギシとかアンアンとか、
あとは普通にテレビとか音楽の音とか。「誰か」には自分も含まれるからね。

悪意の騒音の方はさ、
そんなに滅多に出るものじゃあないと思うのですよ。
毎日ベランダで叫んだりバンバン布団叩いたりして引っ越しを強要し続けるような人ってそんなにいるものかというか、いてたまるかという希望も込みで。

だから、人々が頭を抱える騒音の大半は善意の騒音の方で、所謂「悪気は無いんだろうけど…」って苛立ちを募らせたりする騒音トラブルの種が水を蓄えていくわけなのです。

でも、ノイズはだた聞くだけだとノイズだけど、利用すると『効果音』になるんだ。
泣き続ける赤子の声を録音しようと思うと、泣き止んで欲しかった気持ちが突然「もっとこい…!」って180度変わったり。
外から聞こえるリズミカルな打音に合いの手とか入れたら周りの人がちょっとクスッとする瞬間を作れたり。

だから、ヤバい騒音を出すヤバい奴が現れたら、ピッタリのBGMを探して流してみたら「困った状況」が「私によって演出されたシーン」になって、ちょっと満足感が得られるんじゃ無いかなっていう想像をしていたというお話。
ヤバい奴相手にそんなことをしたらヤバいことになってヤバいから実際にその場ではやらないと思うけど、音だけもらって遊ぶのは面白いかもしれない。
悪意の騒音が、私を喜ばせるための明確な意志と工夫を備えた善意の騒音に負けてなるものか、ってね。