パチっとスパークを振る舞うジジイ。

自分にとって相性の良い作品に触れると、目が開きやすい。
内側が活発になったような感じがして、何かしたくなる。

カンフー映画を見た子供が友達同士で小突き合うみたいな。
体を動かす気持ち良さを全力で享受したい年頃にジャッキーアクションはよく響く。
教室の椅子や机の間を飛び回りたくなっちゃう。
感化された作品を通して、眺めた自分の世界がいい感じに見えたり、新しい遊び方を試せたりする。

二次創作が多い作品は、そういう、感化する力が高い作品ってことだよね。
触れた人の内側に、自分もやりたいと手を動かし始める何かをパチっとスパークさせる。
「あのキャラとこのキャラで、こんなことをさせてみよう!」ってね。

作品だけじゃなくて、人でもあるよね。パチっとスパーク。
話してるとやる気出てくる人とか、話さなくてもいるだけで力が底上げされてるような安心感がある人とか。
すごい人だけかと思いきや、そうとも言えない人にもある。
自分の状態というか、その時の相性みたいなもので、パチっとくる相手が変わったりする。

例えばさ、高校の時に同級生のライブを見に行って。
同じ高校生だから、すごいとかすごくないとか、そういう話じゃないんだ。
楽しそうにステージで暴れてる様を見て、素直に楽しめばいいものを、
「俺は今すぐ帰ってギターを弾かなければならない!」っていう憤りに近い衝動を持ち帰って練習に明け暮れる日々が始まる、みたいなことがあるじゃない。

当時の俺君にパチっと来るのは、同級生のライブで、これが仮に5年後の俺君だったら、繁華街のガードレールに座ってる不思議ちゃんの方がもっとパチっと来るのかもしらん。
その時々、その日の気分すらも含めて、相性の良いスパーキィな人や物、作品があるよね、っていう。

自分にパチっときたそれらは、また折りを見て触れられるとなお良い。人も作品もこの世にたくさん大量にものすごくあるから、自分に相性良かったと判明したものは貴重。人は難しいこともあるけどね。本とか音楽、映画なら、自分なりのベストリスト作れるから、ここぞという時、もしくは色々ままならん時に手を伸ばせる。
それでリストの上に上り詰めてきた「座右の書」みたいなものが、長く生きた人にはあるんだろうと思ってる。

不動のリストの不動の一位っていうよりはさ。
リスト上位で壮絶な入れ替わりが繰り広げられてる、みたいにさ。
いつもリストに新しくパチった何かが出たり入ったりしてる人。
こっちの方が、周りの人にとっていろんな方向、いろんなタイミングでスパークを振る舞えるジジイになれそうじゃあないか。っていうね。