庭の隅の犬小屋。

通りから見える庭の隅っこに、犬小屋があった。
古いけど、汚くはない。
草の処理や植木の剪定が丁寧に施された庭。置いてあるのは犬小屋だけ。

本来の役目を終えてからだいぶ時間が経ってるみたいだった。

物の役割が変わって存在する例を垣間見た。

その古い犬小屋は、犬小屋としての役割はもう果たさないと思う。
けど、手入れの行き届いた空間で状態を保つ家主によって、通りすがりの人間にも伝わるほどの強力な意味を持つ物になってるっていう。

通り過ぎる間のわずかな時間の想像だけど、的外れじゃあないような気がするんだよね。