『空目』を初めて使う。

空目。

空耳の視覚バージョン。
「ひつまぶし」が「ひまつぶし」に見える、みたいなやつ。

『空目』ってネットでは見かけるんだけど、
人がこの言葉を発音してるのを聞いたことがない。私も発音したことがない。試しに今言ってみた。初体験。あんまりしっくりこないから、やっぱり口にしたことはないはず。

「目の錯覚」とか「見間違い」で表せちゃうからね。
書いたのも初めてだ。

空耳は、あまりハッピーじゃないなぁくらいなんだけどさ。
こっちの方は私にとっては、やや脅威的なんだよね。

文字列の誤認は大丈夫なんだけどさ。
チラッと視界に入った物体が、そこに実際あるものとは違うものに見える時。これは結構ビビる。

家具の木目の、色が濃い部分。
虫に見えるんだよね。

裸眼と眼鏡とコンタクレンズで見え方が変わるから、何回通ったかわからないいつもの場所でも頻繁に二度見する。
実際に虫がいるパターンもあるからなおさら困る。これによって「あれ?」って思ったら見過ごすわけにはいかない。どっちに転んでも困惑する現象なわけだ。

あとは、歩いてて視界の向きが変わった時に、フレームアウトしていく部分に暗い箇所があると、何かもしくは誰かがいるように見えて、これも二度見しちゃう。目が覚めてから時間が長く経ってると起こりやすい。

視界の端で気配を錯覚する、っていうので思い出した。子供の頃の通学路。

「ジャジャマルポップコーンダヨ」みたいな音声が延々流れてるマシンと、
民家の裏側に設置された、おそらくガスか電気的な何かを管理する大きな円筒状の機器。
この二つが見える道を通る時は、視界の端で人が立ってこっちを向いてるように感じた。
両者とも、視界の真ん中に据えると、間違いなく物だって確認できるんだけどね。
円筒状の機器の方は、実は中に死体とか入ってるんじゃないかってしばらく思ってた。
故にそこを通る時は少し足早になってたり。

空耳みたいに『空目』にも期待を抱ける何かが無いかと頭を捻ってはみたものの。
ビビるやつ以外だと、山崎まさよしの「One more time,One more chance」みたいな錯覚しか思いつかなかった。
見間違いだと気付くまでの一瞬だけは、良い何かを感じたり、思い出に一瞬飛べたり?人によるかな。どうだろうな。