使い道の少ない言葉の置き所。

「雲行き」ってあやしい時にしか使わないよね。

もはや「雲行きがあやしい」っていう慣用句みたいな。
好ましくない方の意味にだけ使われる名詞ってあるよね。

「堪忍袋」は緒が切れてない時知らないし、
「マナー」はお小言のイントロなわけです。

雲の動きとか、我慢の許容量って、良い意味でも使える幅広い言葉だから、
「厚く高い夏の雲行きを目指しましょう!」とか「俺の堪忍袋、今日は20%増量中!」
みたいな暑苦しい文脈で使えないかとふと思ったんだけど、ちょっと意味わからないね。

網戸ローラーっていう道具があってさ。網戸の網をね、サッシに固定するためのゴムチューブを溝に嵌め込んでいくための道具なんだけどさ。
網を固定するゴムチューブを溝に嵌め込んでいくためにしか使わないのよ。
他の使い道が思いつかないくらい、それ専用なの。
次に網戸を張り替える時まで忘れない場所に保管しておく必要はあるけど、そんなに頻繁に使うわけでもないから置き場所に迷う、そんな専用器具。

用途が限定的で、幅広く使えない言葉。
「雲行き」とか「堪忍袋」も私にとっては網戸ローラーみたいな感じで、
でも頭の中にこういう網戸ローラーみたいな単語がたくさんあると、滅多にやって来ない使えるチャンスが来た時にちょっとテンション上がって取り出しちゃうんだよね。
「こういう時のために取っておいたんだよ!」ってね。

とは言ったものの、網戸ローラーまた使うんだけどね。
鈴の音が聞こえたからね。