体の動きは、思ってる以上にたくさん情報を含んでて印象を左右してる。

体の動きのお話。

ギターを弾いてるマネをするとき。
そうね、エアギターをする時にさ、まずは両手でギターを持って、それで右手を上下に振るじゃない。

「ギターを弾く」っていう体の動きを思い浮かべた時に一番焦点が当たるのは両腕の部分だよね。
それを、ディスプレイの向こうの3D空間で再現しようとすると全然ギターを弾いてる感じにならないんだよね。
首を傾けたり、腕の振動を体に伝えたり、足でリズムを取ったり取らなかったりっていうのを追加してみたりしてね。

「右手で弦を弾こう」っていう動きに呼応する他の体の動きがいくつもあって、その中でも「この部分をおさえると、途端に動作が自然になる」っていう部分がある。

ギターの例だと体の姿勢というか、傾きと肩の動きがそれだった。
教則本に書いてあった姿勢の注意点と同じだったっていうね。
演奏にとって良い姿勢が、自然にギターを弾いてるように見える姿だったよね。
良い音の出る体の動かし方を体得していくことが、楽器の上達というものだしな。行き先は狭い範囲に集約されているのかもしれない。
弾く様が美しいプレイヤーは手練。

アニメで描かれてる人の体の動きは、そういうコアの部分がおさえられててその時々で何が行われてるのかハッキリわかる。すごい。現実の人間の体は、さらにもっといろんな部位が複雑に動いてるはずで。
でもそれらの情報はカットしても伝わるように大事なところが的確に描かれて、さらにそれらが強調されたりされなかったりと、人が描くからこその嘘というか演出みたいな自由があって。
そう、アニメを見る楽しみも増えたよっていう。

人型のロボットの動きが、微妙に不自然に感じるのもきっと似たようなお話で、「この部分をおさえると」をもっとたくさんおさえていくと、逆におさえてない方の部分が目立つっていう。
滑らかにリアルに動いてると、ロボットの動作として見てる動きが、人の動作への認識にスライドしててさ。もうその時点ですごいことが起きてるんだけど、実際に浮かび上がってくる印象は「ヌルヌル動いてキモい」とか「不気味」みたいになるんだよね。

レトロでメカメカしいロボットみたいな動きにも、「これこれ!」って思わしめる要点があって、きっとロボットダンスとかはそういう動きを人の体で再現してるんだろうなっていう。

体の動きは、思ってる以上にたくさん情報を含んでて印象を左右してるなぁって再認識したお話。