富士そばの演歌。

富士そばでは、今も演歌が店内BGMなのだろうか。
飛び込み営業バイトの頃、平日の富士そばの殺伐とした雰囲気が好きだった。

時間もお金も惜しい者たちが肩をこすりながら蕎麦をすするような『酔える』空気があって。実際は時間もお金もある人もいただろうし、肩が触れるほど狭いわけがない、極めて快適かつ合理的な店舗に通ってたんだけど。

「俺は、今、東京で戦ってる…!」みたいに酔いたがりな時期ってあるじゃない。鞄ひとつ抱えて夜行バスに飛び乗るみたいな。

そういうちょっとアレな思い出と一緒に、店内で流れる演歌も、他のお店にはない雰囲気を作り出しててナイス。

壁紙とか家具みたいに、流れる音楽もその場所の印象に影響してて。

「この場所に行くと、こういう音楽をききながら時間を過ごせる」みたいなのがあるのは、音楽が雰囲気を添えるように、音楽もまたその場所の他の要素、照明とか装飾、什器とかいろんな物から影響を受けるから。

そういう組み合わせの蓄積で、自分の中でも、周りの人を含めた社会の中でも「こういう場所ではこういう音楽がいい」みたいなイメージができてて、それに沿って時間と空間を楽しんだり、逆に沿わない意外さとかアンバランスさで楽しんだり、っていう家で聞くのとは違ったアレがあるよね。っていう。
「全国でこの県の、このスタバだけは、店内BGMが童謡。」とか聞いたら気になるよね。ならないかな。どうかな。