風鈴の涼。

夏の暑い最中、音で涼を取りましょうっていう風鈴のコンセプト、好きだ。
とはいえ、都会の過密気味のエリアだと騒音トラブルの元になるそうな。
確かに年中屋外に放置して鳴ってる家見かけると「そうじゃないのよ」ってなるであろう。

あれは、流しそうめんとか家庭内かき氷のように、限られた時間楽しむために配置して、終わったら片付ける類のイベントグッズの一つである。

夕立と一緒に吹き込む強風でカンカン鳴ってるのは、もう「涼」とかそういう話じゃなくなるよね。
デザインされた音の出るオブジェクトは、音が出る状況を整えてあげると本領を発揮する。

微風が揺らす鈴の高音に耳を傾けられる、聞き手側の落ち着いた状況も『涼』の発生条件なのであろう。
滴る汗を拭いながら雑草を抜いてる最中では、風も音も感じる余地は無くて、手を止めたその隙間に音も涼もやってくる。
そんな、環境・聞き手の状況も含めて成立する均整を目指してデザインされたナイスなオブジェクト、風鈴。

あの音が涼しいと感じられるのは、昔の人と同じ感覚を持てている安心感があって良い。

とはいえ「風鈴の良さとはこういうものだ」って限定しすぎるとね、年中吊るしてる家に憎悪が湧きかねないからね。
ご近所トラブルの発生源は、熱心な風鈴愛好家によるものの可能性も無くはないからね。

「ああ、風鈴の音がする。いいなぁ。」って通り過ぎるぐらいの涼しい態度がちょうどいいのかもしらん。