ピアノの音の輪郭を削る。

楽器によって得意なフレーズと、そうではないフレーズがある。
ゆえに、ピアノっぽいフレーズとか、ギターっぽいフレーズとか、楽器の種類に依存した音の並びの「定石」みたいなものが数多く存在する。「リック」と呼ばれる。

例えばピーン…って、一つの音を長く伸ばしてその音に徐々にビブラートをかけていく、みたいなことをしたい時はピアノよりギターの方が向いてる。ピアノでもできなくはないけど、ピアノって弦直接触って揺らすのは色々ちょっと面倒がありそうだしさ。

あとは、同じ音を高速で鳴らし続けるフレーズもギターの方が得意。
けど、同じ音を高速で鳴らし続ける、これが2音とか3音同時に発生する、みたいな場合はピアノの方が奏法的には現実的になる。そのフレーズ自体が現実的かどうかはさておき。

そういう、楽器の得手不得手、向き不向きのフレーズがあるから「ここはギターっぽい音が欲しい!」みたいな時のお約束みたいなフレーズで「これこれィ!」っていうのが成り立つんだけど、

あっちの楽器の得意を、こっちの楽器の不得意に持ち込んだりするところに痺れるようなサウンドの種があったりもする。
音の大幅な跳躍が苦手なギターで、ピアノっぽいことをしたら、革命が起きたじゃない。ライトハンド奏法。

革命とまではいかないけど、実験みたいに、モデリングされた楽器の音を、別の楽器の奏法の解釈で扱ってみたりする遊びが愉快、っていう。